有楽町駅銀座口に２０時に待ち合わせて、「KOJIRO」で焼き肉を食べることになった。
巌流島コースと五輪の書コースが同じ８８００円で、迷ったのだが、創作料理がメインの巌流島コースにすることにした。
https://ginza-kojiro.owst.jp/courses/12970764
Kさんはいつもより暗い面持ちで、目は笑っていないから、何かよからぬことが起きるような気持ちにさせる。
今度、飲食店コンサルタント会社の副社長の話を聞きに、一緒に行くことになった。お互いに気持ちが合うようだったら、ディズニーへ気持ち良く行きたいねとKさんが微笑んだ。
今のうちに貯金しておくようにするねと話をすると、あなたも話を聞いて社債をするのよとKさんが言う。
私は唖然とした。同じ社債をすることで、同じ価値観が確かめたいということであるが、婚約もしていない段階ですることであろうか？
「いきなりするのに抵抗があるね」
彼女がガッカリした顔をする。刹那、怒りが湧いてきた。金ばかりに執着しているだけのつまらない女に見えたのである。
「社債をする際に、実家の住所を含めた連絡先は教えてくれるの？」
彼女はふてくされたように、嫌な顔をする。
「住所なんて聞かれたら教えるよ。私だってMちゃんの住所を知ろう
なんて、思ってもいないし、そんなことが知らないと、信頼できないなんて思わなかった。そんなに軽く見られていたなんて……」
「Kさんは、父親と、その副社長と付き合いがあって、知っているのだろうけど、私は何も知らないんだよ。この状況を１００人が見たら、１００人とも詐欺じゃないかと不安になるよ。詐欺の典型的な手口じゃん」
彼女の目からは、涙がこぼれている。
「詐欺師だなんて、私の顔がいけないのかな。もうやめよう。明日、キャンセルの電話をかけるね」
それから何度、謝っても許される気配はない。
人が信頼出来ずにいたから、今度ばかりはKさんに向き合おうと頑張ってきたのに、つい悪い癖が出てしまい、すみませんと涙声になって、頭を下げ続けた。退店のお時間になり、近くの公園のベンチで話の続きをした。
今までの私の話は半信半疑で聞いていたのと愚痴をこぼしている。さっきの言葉は、最悪で最低で、マジむかついたし、もう会うべきではないと思ったということであった。ひたすら謝っていたら、本当の気持ちをメールで書いてきて欲しいと言われた。
終電の時間を気にする余裕が彼女にはあったのだろう。携帯で時間を確認すると、駅まで歩きながら、話をしようかということになった。機嫌を取り戻しつつあった。
「もう一度信じるね」
とKさんは目を合わせずに呟いた。
「ありがとう。靴ズレは大丈夫？」
「まだ、わからない。今言っているだけだから……」
三田線の改札口でサヨナラをした。時刻を見ると、終電で最寄り駅まで帰ることができない。東京駅から、中央線で最終の豊田駅行きが出ていた。豊田駅からタクシーで３０００円近く支払い帰ることができた。
Kさんへのメール
「昨日は申し訳ございませんでした🙇♂️
結婚生活は、好き嫌いの友情・恋愛も大事だけれど、女性の価値観に男性が合わせていけるかどうかの覚悟（resignation）と意志も同じぐらい大切で、それがモヤモヤの本質ではないかと自分で話していながら、覚悟を問われて怯んでしまいました。🙇♂️
５年間も付き合い、式を挙げる直前で、彼氏に金銭の価値観の違いが判明して別れた経験をお持ちのKちゃんであれば、早急に覚悟を問う心境は理解できていたはずなのに、後悔しております。
Kちゃんはいつも言行が一致していて真面目で信頼できる方です。🙇♂️
面識の無い男女が喫茶店で落ち合い、交際をスタートさせる婚活で、Kちゃんに本気であることを伝える手段が、観劇や食事を奢ることぐらいしかなく、首をかしげ、心細さで戸惑い、自信が持てなかったのは事実です。
昨日、私の不信感ある発言に対し、怒り心頭に応えるKちゃんを見て、真心が湧いてきて、心から信じることができました。尾崎豊の『傷つけた人々へ』を思い出し、何度も聴いて帰りました。
https://sp.nicovideo.jp/watch/sm18910586
どうかお許しください🙇♂️
「○○○社」の副社長のお話を２人で聞きにいきたいです。以前、私も小さい会社で働き苦労していたものですから、中小企業の努力を応援したい気持ちも多分にあります。父親が勧めるほどですから、しっかりした経営基盤のある会社でしょう。労基にさされなければ、倒産して不良債権になることはないと思いました。経営者の良心が納得できたら購入したいです。よろしくお願いします。🙇♂️🙇♂️」
