
4,000円で身体を軽くする――京王堀之内の中国式整体に通って思うこと
最近、京王堀之内駅の近くにある中国式の整体院に、ときどき行っている。
60分で4,000円ほど。
マッサージに4,000円と聞けば、「高い」と思う人もいるかもしれない。湿布を貼って家で休めばいいという人もいるだろうし、そのお金があれば映画を観て食事をしたいという人もいるだろう。
けれど、私にとってはなかなかいい4,000円なのである。
仕事柄、毎日のように魚を扱う。立ち仕事が長く、魚を持ち上げ、包丁を使い、前かがみになる。知らないうちに腰や背中、肩に疲れがたまっている。
そんな身体を預けて、ただ一時間寝ている。
これが案外いい。
店を仕切っている小柄な女性がいるのだが、見た目からは想像できないくらい力強い。
足を持ち上げる動作も、身体の向きを変えるのも実に手際がいい。そして中国式らしく、いわゆる「ツボ」を次々と押していく。
「いててて」
と思うところもある。
けれど、ただ痛いのではない。
よく言う「痛気持ちいい」というやつである。
身体の奥にある固まった部分を探し当てられて、そこをぐっと押されるような感覚がある。
終わった直後は、逆に少し疲れることさえある。それくらいしっかり身体を動かされる。
ところが、店を出て歩き始めると身体が軽い。
あれだけ重かった腰や背中が、少し自分のものではないように軽く感じる。
私はもともと、マッサージやツボ押しをそれほど信じていた人間ではない。
「本当に効くのか」
と思っていた。
科学的な意味で、東洋医学の「ツボ」という考え方がどこまで説明できるのかは、私には分からない。
それでも、人間が身体の疲れや痛みと付き合うために、長い時間をかけて編み出してきた知恵というものはあるのだろうと思う。
昔の人々も、狩りをし、歩き、重いものを運び、身体を痛めた。
薬も病院もない時代に、
「ここを押すと少し楽になる」
「この辺を揉むと身体が動く」
という経験を、何世代にもわたって積み重ねてきたのかもしれない。
そう考えると、ツボ押しというものも少し面白く見えてくる。
もちろん、「毒素が全部抜ける」とか「病気が治る」とまで考える必要はないと思う。
けれど、身体を触ってもらい、筋肉をほぐし、一時間何もせず横になっている。
それだけでも人間にはかなり大きな休養なのではないか。
特に私の場合、月に一度か二度。
4,000円ほど払って身体を整える。
それくらいなら十分ありだと思っている。
ただし、中国式整体というのは、人によって技術の差がかなりあるようにも感じる。
資格によって施術が完全に標準化されている世界ではないから、「誰に当たっても同じ」というわけではない。
若い人に担当してもらって、
「あれ、今日はちょっと違うな」
と思うこともある。
反対に、長年やっていそうな熟練の女性に当たると、こちらが何も言わなくても、
「そこなんだよな」
という場所を次々と押してくれる。
あの感覚は不思議なものである。
昔は接骨院に行けば、保険が使えて数百円ほどでマッサージを受けたり、電気を当ててもらったりした記憶がある。
今は制度も厳しくなり、自由診療で数千円というところも珍しくない。
そう考えると、一時間しっかり人の手で施術してもらって4,000円ほどなら、私はむしろ納得できる。
映画に行くのもいい。
美味しいものを食べるのもいい。
本を買うのもいい。
そして、ときには自分の身体に4,000円使うのもいい。
施術が終わると、最後に小さなお茶が一杯出てくる。
それを、
「くっ」
と飲んで店を出る。
身体が軽くなって、少し眠くて、外の空気が気持ちいい。
あの瞬間まで含めて、一つの時間なのだと思う。
あまり人に教えて混んでしまうのも困るのだけれど。
そんなことを思いながら、また身体が凝ってきたら、私はおそらくあの店に向かうのだろう。

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