部署異動はプチ栄転だった。だけど、会社員というのは、まるでエスカレーターが止まったかのような、ノロノロとしたペースでしか前に進まない。小さな昇進を繰り返しても、本当の達成感や充実感はなかなか得られないものだ。
最近、私は従妹からのメールに驚かされた。なんと彼女の息子はニューヨークで活躍するエリートビジネスマンだというのだ。青山学院大学を出た彼女自身もアメリカで波乱万丈な人生を歩んでいるらしい。ドラマのような成功物語を目の当たりにして、正直、自分の生き方と比べて惨めさを感じずにはいられなかった。
従妹のメールは自分のルーツに悩む内容だったが、それでも私は彼女が羨ましい。なぜなら、彼女は病気をして仕事を離れた今、ようやく自分の人生を見つめ直す時間を得ているからだ。それに引き換え、私の毎日はどうだろう。異動したとはいえ、シフト勤務でまとまった休みも取れず、毎日同じことを繰り返すだけの「社畜生活」。
考えてみれば、私の家系は極めて堅実な人生を送ってきた人が多い。起業や冒険とは無縁で、安定志向一筋だ。だが、そんな中でも、従妹の人生はまるでドラマのように劇的だった。彼女は病気をきっかけに、自分の本当の生き方を見つめ直している。
そんな従妹を見ていると、自分にも眠る「起業への憧れ」や「挑戦したい欲求」が湧き上がってくる。リスクを取ってこそ、本当に人生を味わえるのではないか――そう思わずにはいられない。
私は今日も職場で、ぼんやりと空を見上げる。飛行機が音を立てて空を横切り、どこか遠くのフロンティアへと向かっていくようだ。私もいつか、この「堅実さ」という枠を飛び越えて、自由な人生を手に入れたい。
鳥のように空を飛び、自分らしく生きる日は来るのだろうか——。

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