
最近、仕事のストレスが限界に達しそうだった。
土用丑の日、三連休の初日。うなぎの売上は前年比でまさかの大敗。数字が頭から離れず、今月末の荒利益が異常に気になってしまう。「もう、こんな仕事漬けの毎日は嫌だ」と思った私は、思い切って連休を取得した。
向かった先は、上野。博物館でアートに触れ、少しでも心を癒したいという願いからだった。
仕事終わりに鶯谷へ、小さな逃避行のはじまり
仕事を終えたのは夜の8時。電車に揺られながら、私が選んだのは鶯谷の東横イン。何度か泊まったことがあり、決して豪華ではないけれど、いつも同じフォーマットで安心できる「第二の我が家」のような場所だ。
だがその夜、私はもう一つ、心の緊張を解きたくて「風俗エステ」に連絡を入れた。深夜0時30分から、『隙のあるエステ』のナンバーワン、みくさんを指名した。
みくさんとの出会い——“純粋さ”が滲む手のひら
インターホンが鳴り、応答すると東横インのスタッフからの連絡。シングルルームへの訪問には追加料金3000円が必要とのこと。意外と良心的な対応に安心しつつ、ホテルの監視体制に少し驚いた。深夜だというのに、ちゃんと見ているものだ。
その場でのやり取りを見たみくさんは、「外に出ましょうか?」と申し出てくれた。以前、似たようなシチュエーションで金だけ取られて逃げられた苦い記憶が蘇ったが、彼女はそうではなかった。まっすぐで、誠実な気配を感じさせる女性だった。
背中に伝わる“寂しさ”と、言葉にできない優しさ
施術が始まり、アロマの香りとともに、彼女の手の温もりが背中をなぞる。その触れ方には、優しさと…どこか“寂しさ”が宿っていた。彼女はこの仕事を本当に望んでやっているわけではない、そう感じさせる何かがあった。
ふと、私のやりきれなさと重なって、胸が締め付けられるような切なさがこみ上げてきた。
サービスのあとは、並んでベッドに横たわり、彼女がスマホで見ていたのは「店のランキング表」。今月は3位らしい。どんな世界でも競争があり、人はその中で居場所を見つけようとしている。
彼女は、偏差値の低い大学を中退し、この仕事に就いたことに強いコンプレックスを抱いていた。それでも、真っ直ぐに話してくれる姿に、どこか救われる思いがした。
私は、自分の話をした。32歳までスマホを触ったことがなかったこと、読書でわからない言葉にぶつかるたび、スマホで答えを得られるようになって感動したこと。その話を聞いて、彼女は急にベッドから起き上がり、シャワーに向かった。その後ろ姿が、どこか儚く、美しかった。
東横インの朝食に救われる朝
翌朝、私は東横インの朝食会場へ。おにぎりだけの簡易朝食ではなく、今回はビュッフェ付きの店舗を選んでいた。
ウィンナーにキャベツ、ご飯に味噌汁。これが、私にはちょうど良い。高級ホテルの朝食よりも、胃にも財布にもやさしい。仕事のある日は朝が早くて食べられないが、この日はたっぷり時間があった。思わずおかわりしてしまった。
“癒し”とは、ほんの一瞬の逃避かもしれない
今回の上野・鶯谷の小さな旅は、仕事漬けの日々の中で、ほんのひとときの“息抜き”だった。
みくさんの手のぬくもり、ランキングに一喜一憂する彼女の素顔、そして東横インのビュッフェ朝食。どれもが、私の心をほんの少し軽くしてくれた。
9月の大阪万博に向けて、今度はどんな東横インに泊まろうか。朝食がビュッフェ形式の店舗を調べるのも、ひそかな楽しみのひとつになりつつある。
“今”のストレスは、“今日”だけでも逃げたっていい。
そんなふうに、自分を少しだけ許せた旅だった。



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