
今日、ちょっとした喪失体験をした。
いつもの癖で、何気なくスマホを開き、
新宿バルボラのホームページにログインしようとした。
――入れない。
「あれ?ブロックされた?」
何度やってもだめだ。
そして検索して、ようやく気づく。
閉店。1月30日で営業終了。
頭が、しばらく真っ白になった。
バルボラは、ただのソープランドじゃなかった。
昔は「日本最高級」と呼ばれた店だ。
90分8万円。伝説みたいな価格。
でもコロナ禍を経て、
50分2万6千円前後という“手が届く高級店”に変わった。
これが、僕にはちょうどよかった。
短時間で、さっぱりと、
余計な感情を残さず、静かに帰れる。
大衆店ほどの不安もなく、
高級店ほどの気負いもない。
「大人の男の逃げ場」みたいな場所。
仕事と、小説と、人生の疲れのあいだに、
そっと差し込む休憩所。
僕は、あの距離感が好きだった。
だから閉店は、想像以上に効いた。
「行きつけの店がなくなる」
ただそれだけの話のはずなのに。
なぜか、
- 急に老けた気がして
- 世界が少し狭くなった気がして
- もう戻れない時間が増えた気がした
たぶんこれは、店の問題じゃない。
自分の人生のフェーズが、ひとつ終わった感覚。
それがつらいんだと思う。
資本の論理や、業界事情や、いろんな噂はある。
でも結局のところ、
あそこで働いていた女性たちも、客だった僕も、
みんなそれぞれの「生活」と「孤独」を抱えていただけなんだ。
バルボラは、
その孤独を一瞬だけ溶かしてくれる場所だった。
だから僕は願ってしまう。
形が変わってもいい。
名前が変わってもいい。
また、あの場所に灯りがともってほしい。
僕がまだ、欲望を持つ人間である限り。
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