■ 嵐の松本潤が「いただきます」から始まる
扉の前に立つと、巨大スクリーンに松本潤が現れ、手を合わせて「いただきます」と告げる。
すると壁がゆっくりと開き、暗がりの中に広がる展示空間──それがアースマートだ。
このパビリオンでは、「食」が限られた地球資源のうえに成り立っていることを、
説教ではなく体験を通じて理解させるようにデザインされている。
■ 食卓の裏にある「膨大な命」
最初に目を奪われたのは、「4匹のイワシが食卓に並ぶまでに、どれだけの群れが海を泳ぎ、命を落としてきたか」を示す映像だ。
ブタやウシ、ニワトリといった家畜も同様で、
日々当たり前のように食べているものの背後には、数えきれない命と労力がある──
それを、圧倒的なスケール感で可視化してくる。
天井には、日本人が一生に食べる卵の数を示す無数の卵が、シャンデリアのようにぶら下がっている。
レジカウンターでは、ガラスに映る自分の顔が魚や野菜、家畜に変化し、「食べる側から食べられる側」になる。
思わず笑ってしまうほどユニークで、それでいて深い示唆があった。
■ 未来のフード──命を減らさず、食をつなぐ
後半では、資源枯渇を見据えた「未来のフード」が紹介されていた。
私はスーパーマーケットで鮮魚を扱っているため、
「すきやばし次郎のメニューに、毒のないフグ、アニサキスフリーのサバ、歩留まりの高いマダイ」といった理想が展示されているのを見て、
妙に親近感を覚えた。
未来食のブースでは、たんぱく質や栄養素を粉末化して保存し、
専用のフードプリンターにかけることで、
ハンバーグにもうなぎにもたこ焼きにもなるという。
形はタコ、味はブタ──そんな「食の再構築」が現実になろうとしていた。
命を減らさずに命をつなぐ食──それが、このゾーンのメッセージだった。
■ 円卓に映る「世界中の笑顔」
クライマックスは、巨大な円卓シアター。
そこに野菜、魚、肉が映し出され、
次々と世界中の人々が笑顔で食べる姿が現れる。
そしてラストに地球が浮かび上がり、スタッフが
「この先が、アースマートです」と言って扉を開ける──
「地球の資源を、みんなで分かち合う」という強いメッセージが、胸に残った。
■ 社会的意義と、スタッフのまなざし
印象的だったのは、案内してくれたスタッフたちの眼差しだ。
誰も「やらされている」感じがなく、使命感を持って楽しそうに働いていた。
今の若い世代は、社会的意義のある仕事でなければ心から動けない──
その言葉を実感した。
ブースを出ると、グリコと共同開発した米の飴を手渡された。
それをなめながら東ゲートへ向かう帰り道、
職場や家族など、日常のしがらみがふと頭に浮かび、
「すべてから解放されたい」「自由になりたい」と思っている自分に気づいた。
■ ふと、あなたを思い出す
頭に浮かんだのは、朝、葛飾区から来たと話してくれたあの女性だった。
東横イン弁天町に泊まって来場したという彼女は、
一生会うこともない私に親切に話しかけ、笑顔を向けてくれた。
もし、この記事を読んでくれていたら──
一言でいい、「読んだよ」とメッセージがほしい。
心からありがとう、と伝えたい。







































































































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