株式会社の社員は、誰のために働いているのか? 〜株主とお客様のあいだで揺れる本質論〜

私たちは、いったい誰のために働いているのふとした瞬間にそんな疑問が頭をよぎることがあります。とくに、株式会社という仕組みの中で働いていると、「あれ、社員って結局、株主のための存在なのか?」という根源的な問いに突き当たります。

この記事では、「社員」「株主」「お客様」の関係性を改めて見つめなおし、現代の資本主義における働く意味を考えてみたいと思います。


◆ 株式会社の構造:社員は株主のために存在する?

株式会社は、株主が資金を出して設立される法人です。
そのため、経営陣には**「株主の利益を最大化する責任(fiduciary duty)」**があります。企業の目的は利益を出すことであり、その利益は最終的に株主に還元されることを期待されます。

そして社員は、その利益を生み出すための「歯車」として雇われる——つまり、社員=株主利益のための手段という考え方が制度上は成り立ってしまいます。

「なんだか冷たい」と思われるかもしれませんが、これが現実のビジネスの根幹にあります。


◆ では「お客様」は、株主のための“道具”なのか?

さらに深く考えると、商品を購入してくれる「お客様」は、企業が利益を得るための存在です。
この観点に立てば、**お客様すらも“株主の満足”のための道具”**だという極論も成り立ってしまうかもしれません。

もちろん、そんな考え方に違和感を覚える人は多いでしょう。企業が「お客様の満足」を追求するのは、お客様の幸せそのものが目的であるべきだ、という感覚が私たちにはあるはずです。


◆ だからこそ注目される「ステークホルダー資本主義」

近年、こうした「株主第一主義」に対する揺り戻しが起きています。

たとえば、アメリカの大企業CEOたちで構成される「ビジネス・ラウンドテーブル」は2019年、次のように宣言しました。

「これからは株主だけでなく、従業員、顧客、取引先、地域社会といった すべてのステークホルダーの利益を考慮した経営 を行っていく」

これは明確に、「社員やお客様を“手段”ではなく“目的”とする」経営の方向性です。


◆ 働く意味を問い直す時代へ

「社員は株主のために働くものなのか?」
「お客様はそのための道具なのか?」

この問いは、単なる制度の話にとどまらず、私たち一人ひとりの「働く意味」を問い直す機会を与えてくれます。

たしかに制度としては、社員は株主利益の最大化に組み込まれています。けれども、人間としての誇りや、仕事のやりがい、社会とのつながりは、株価や配当とは別の次元にあるものです。

株式会社という仕組みのなかで働きつつも、「誰かの幸せのために働いている」と実感できるかどうか——。
それこそが、これからの時代における“働く人の本質”なのではないかと思うのです。


◆ おわりに:あなたは、誰のために働いていますか?

もし今日の仕事が、誰かの笑顔につながったのなら。
それは株主のためというより、あなた自身の誇りのためではないでしょうか。

「社員=株主の道具」という一面的な見方にとらわれず、もっと広く、もっと深く、「働く」ということを捉え直してみる時代が、いま始まっているのかもしれません。

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この記事を書いた人

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