江戸の華やぎと祈りの記憶──特別展「江戸☆大奥」を訪れて

2025年夏、東京国立博物館で開催中の特別展「江戸☆大奥」に足を運びました。チケットを手にしたのはまさに展示が始まって間もない7月29日の朝。上野公園の静けさのなか、時を超えて蘇る女たちの物語に、ただただ圧倒されました。

目次

大奥に咲いた知性と趣味、そして祈り

まず目を引くのは、パネルで紹介される歴代の奥女中や将軍正室たち。華美な装いの裏に、それぞれの個性と物語がありました。

なかでも印象に残ったのは、おそらく和宮親子内親王(孝明天皇の妹で家茂の御台所)。彼女が集めていたという“知恵の輪”や“コマ”、タマムシの翅などの蒐集品の再現展示に目を奪われました。知性と繊細さ、そして何より“遊び心”が感じられ、大名も将軍もこのような“いたいけさ”に惹かれたのでしょう。


港区女子の原型? 華やかな衣装の数々

展示のメインビジュアルともいえるのが、豪華絢爛な打掛や振袖の数々。

この赤と金を基調にした衣装は、徳川家光の正室・孝子(高源院)のものとされています。まるで現代の「港区女子」を彷彿とさせる煌びやかさ。美しくあろうとする意志が、布一枚一枚に込められているようでした。


仏への祈りに託された心

驚いたのは、仏像の胎内に自らの髪や鏡を納めたという逸話。これは家光の正室・孝子や、五代将軍綱吉の生母・桂昌院に代表される“信仰深き女性たち”の行いでした。

政略結婚、家督争い、病と死。すべてが運命によって翻弄されるなかで、祈りこそが拠り所だったのでしょう。展示後半には、長谷寺に奉納された「篤姫図」も再現されていました。時代を超えて、信仰が彼女たちの心を繋いでいたことが感じられます。


総評:絢爛たる外面と繊細な内面

大奥とは単なる「女の園」ではなく、戦略と愛、信仰と孤独が交錯する世界。その核心を感じ取れるのが、この展覧会です。

展示を見終えた今、「現代の港区女子」や「婚活女子」とも重なる側面に、ふとした親近感を覚えました。時代が変わっても、女性の生き方には共通するものがあるのかもしれません。


基本情報

  • 展覧会名:特別展「江戸☆大奥」
  • 会場:東京国立博物館 表慶館
  • 会期:2025年7月19日〜9月21日
  • 入場料:一般2,100円(当日券)
  • 備考:一部撮影可能エリアあり。
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