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三島由紀夫『絹と明察』 考察:石山寺

 

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 「あくる日の快晴の午後を、二人は石山寺の見物にゆっくりとすごした。

石山寺は千二百年の昔、良弁僧正の開基になる名刹で、その本堂には、縁結、安産、福徳の霊験あらたかな秘仏を祭り、数しれず供えられた安産御礼の供米を、若い夫婦は言いがたい思いで眺めた。」

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五箇荘近江商人屋敷でも、このような鯉が多く泳いでいた。残飯を鯉の餌にしていたらしい。あれほど大きい屋敷に住んでいると、それが普通になって、同じ商売敵と、張り合って、やり合って、一生を終えるのだろうし、いつまでも、地上の楽園なんて、幻想に過ぎないのだろう。

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↓ 彼女は、後ろから見ると若そうであるが、正面から見ると、もう40代であろう。

懐妊と安産の祈願に来ているかもしれない。私が今から結婚したとしても、男女間の年齢による問題が出てくるだろう。もう俗世間にどっぷり関わらずに、この世の中における私を去りたい。それまで何がしたいかといえば、人間の究明であろう。そして、人と人との関係に、美はあるのか? という問題が、私の生涯の課題である。

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こiこに、真剣な面持ちで、座っていた女性がいた。三十路同士のカップルといった感じであった。子供が産まれないから、産婦人科に行って医学に頼っても駄目なら、神頼みしかないではないか? 1匹の精子と1個の卵子には、莫大に力を宿している。だって、そこから人間が創り出されるのだから! 神が人間の最後の言い逃れなら、逆説は神への捷径なのか?

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「さまざまな陰気な見世物を巡ったのち、崖にかかる月見亭へ来たときに、二人は戸障子一つないその簡素な東屋から、見はるかす広大な眺めを喜んだ。この帝王の月見の場所は、のびやかな展望を遮るものとてなく、大槻は妻の肩に手をかけて、瀬田川の彼方、秋らしい雲のたたずまいを映す琵琶湖のあちこちを指さして地名を教えた。弘子はそのほとんどを知っていたけれど、今はじめてきくように良人の言葉にうなずくと、そこに新らしい未知の土地が、一つ一つ生れ出るような気がした。

空は清く澄み、比良、比叡の峯々もさだかに見えた。」

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三島が訪れた時は、もっと遠くまで見えていたのであろうか? 樹々が邪魔してほとんど見えない。

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「しかし、源氏物語が書かれたという伝説のその部屋は、廊下より一段低い陰気な小部屋で、明りを取るには華頭窓が一つあるきりである。」「それがいかにも座敷牢を思わせるところから、もし伝説が真実で、ここであの長い物語が書かれたことが本当なら、紫式部は狂気だったのではないかと大槻は想像した。そこで彼女をこんなところに閉じこめておく必要があり、それに恰好な参籠の口実を与えることもできたのだ。」

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カテゴリ
阪神タイガース・プロ野球・スポーツ