
万博の熱気を洗い流しに──動物園前駅から風呂屋へ
2025年大阪・関西万博で一日中歩き回り、汗と熱気に包まれた身体を癒やそうと、帰りに動物園前駅で下車。近くの昔ながらの風呂屋に立ち寄りました。
湯に浸かると、あちこちから垢が出てきて、「これだけ汗をかいていたのか」としみじみ。
番頭さんに「近くにお金をおろせるところありますか?」と聞くと、「この近くには、そんなん、ないですわ」と、まるで大阪の漫才師のような柔らかな言い回し。
なんだか笑ってしまいながらも、「これが大阪の日常なんだな」と思い、心がほぐれていくのを感じました。
ただ、ここ西成の風呂屋は、どこか人々の影が濃い。
コンビニのATMに向かう道すがら、入れ墨の男たちや、暇を持て余したようなアフリカ出身と思われる男性グループがたむろしていて、治安の空気を肌で感じました。
夜の飛田新地──ネオンに照らされた“幻”のような美しさ
やがてたどり着いた飛田新地。
軒を連ねる料亭の光、その光の中に佇む女性たち──。
その美しさは、まるで舞台照明に照らされた女優のよう。しかし、それが光のマジックなのだと、どこか冷静に見つめている自分がいました。
歩いても歩いても、なかなか決断できません。
気になる人を見つけても、もう一周すると別の女性に代わっていて、出会いは一瞬で過ぎ去っていく。
「次こそは」と思いながら、何周も路地を回るうちに、万博での疲労と相まって、身体は限界に近づいていました。
迷いの果てに出会った、ポニーテールの彼女
ようやく意を決して暖簾をくぐると、そこにはポニーテールの似合う女性。
彼女は慣れた様子で、「万博で疲れてるみたいだし、大丈夫?」と、少し心配してくれました。
正直、その通りでした。
興奮というより安堵感が勝ってしまい、思うように身体は動いてくれません。
それでも、彼女は終始優しく、最後に「選んでくれてありがとう」と短く告げ、二人で静かに抱きしめ合いました。
その瞬間だけ、ネオンに照らされた虚構の街で、確かな温もりに触れた気がしました。
立ち去る名残と、人の目という“重さ”
外に出て何周か歩き、名残惜しさを胸に、ようやく飛田新地をあとに。
駅までの道が分からず警備員に聞くと、教えてくれたのは真っ直ぐ街を離れる道でした。
背中に感じるネオンの光が、だんだんと遠ざかっていきます。
宿泊先の東横インに遅れてチェックインすると、スタッフの冷たい視線。
「夜に何かをしていた」と思われたのかもしれません。
人の目や評判というものの怖さ、そしてその重みを改めて感じました。
ふと、万博の入場前に話した女性の声がよみがえります。
――「人の目って、気になるものですよね」
その言葉が、不思議と胸に残り続けていました。
まとめ:光と影が交錯する“大阪の夜”
万博で未来を見たあと、飛田新地で人間の生々しさを見た――。
光と影、清潔と猥雑、未来と現在。
そのコントラストが、大阪という街の魅力なのかもしれません。
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