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↑前回のやりとり
Yさん
「こんばんは。
大変申し訳ないのですが、施設への送付は困りますので、お断りさせていただきます。
もし届いたとしても、受け取れませんので辞めていただきたく、よろしくお願いいたします。
この連絡が最後とさせていただきます。」
私「大変申し訳ございません。老人ホームの祖母宛に、お歳暮やお中元を送っていたので、差出人に私の名前が明記してあれば問題ないと考えていました。明日届きますので、お断りいただければ、こちらで佐川急便と対処致します。
最後になりますので、自分の思いをしたためました。読んでいただけるだけで救われます。
初回の池袋では、マリーアントワネットのような優美さがありました。幼い頃にエレクトーンを習っていたことで楽器に興味を持ち、真夏の高校野球をフルートで応援したことが楽しかったと微笑む姿は、花總まりのようでした。喫茶店の外に出るともう夜で、信号待ちの間、雪の結晶の形をしたイルミネーションを眺めていました。
「気づいたら年越しですね。背が高いですね」と微笑んでいて、駅に着いて、「改札口で、切符を買うものですから、今日はありがとうございました」と言うと、切符売場まで笑顔でついてきてくれました。
その印象のまま、キャッツの待ち合わせ場所に行きました。私に気づくと、急に立ち上がって、もう行くのと冷たく険しい雰囲気ですから驚きます。座って話を聞くと、「12月はほとんど休みとれないよ」「お仕事が大変ですか?」「はいっ?」と怒りを堪えるような顔を向けてきます。マルグリットアルノーのような正義感による気性の荒さに振り回されて、その日は終わった感じです。正直、別人格なので、どう応対していいのかわかりませんでした。
早くこのミュージカル(MA)を観ていれば、性格もなんとなくわかってきて、君にとっても有意義な1日になったでしょう。ごめんなさい。感情を逆撫でするような質問や話ばかりしていたことが悔やまれます。仮にもう一度あの日をやり直して、納得いくような応対ができたとしても、君が私を結婚の相手として認めてくれるとは、池袋のCAFÉで話している時から考えられませんでした。
「子供のことを考えると結婚できるのも最後の機会だから、これで駄目ならあきらめていいや」
と君が窓の外を眺めて笑っていたんです。それがとても私に似ていると思いました。
元々女人禁制の高野山で小僧をしながら大学に通い、空海を理想として生きてきた父親の下に生まれた私は、7歳上の腕力も知性もかなわない兄の顔色ばかり見て育ちました。高校は男子校の野球部、大学は女性がほとんどいない農業大学でした。男性の正義をテーマにしたものが多い三島文学に耽溺する学生生活を卒業して就いた仕事は男ばかりの鮮魚部で、人生を顧みても周りに女性がいません。
君の表すものすべてが自分と対極にあるから、それが余りにも魅力的に思えるんです。そして、お互い男性原理と女性原理に頑なに閉じこもって生きてきたところが似ています。だから、先の君の言葉はそっくりそのまま私の気持ちを代弁していると感じました。本当に好きになった人がいれば、結婚していいと考えているんでしょう。私にとって、それがYさんだったんです。でも、私は君の白馬の王子様になれないのは明らかです。
あなたが理想の男性に出会えたなら、「マリーアントワネットの2人のMAは私の性格を表しているみたいなの」とDVDを彼に渡して見せてあげて欲しい。より良いお付き合いに進んでいけるんじゃないかなぁと思います。余計なお世話ですね。
断りの連絡がツヴァイからきました。それでも好きだなんて初めてです。実家近くの民家が流されたり、裏山が土砂崩れをしたり、大好きな猫がしっぽを切断したりと大変そうですが、両親に時々は会いに行って安心させてあげてくださいね。ここまで読んでくれたとしたら嬉しいです。ありがとうございます。さようなら。心から、どうか幸せに!」