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劇団四季『ジーザスクライストスーパースター』観劇レポート


先日、劇団四季の『ジーザスクライストスーパースーパー』を観てきました。以前、友人の紹介で東京芸術劇場の芝居を観に行った際には、最後まで観るのがしんどい経験でした。27歳の女性が癌で亡くなるまでに、彼女の絵本作家になる夢を叶えるために小学校の同級生と先生が協力するというストーリーに無理があり、聞き取りにくい発声をする可愛いグラビアアイドルの主演も配役に疑問を感じました。劇場の入口では、劇中に流れた曲を収録したアルバムと役者全員のプロマイドが販売されており、いかにも内気でどこにでもいるような人物の写真まで売られている様子に、ドサ回りの河原者達という言葉が頭をよぎりました。

そんな経験を払拭するため、本物の舞台表現に触れたくて、劇団四季の人気作『アラジン』を観ることにしました。最初に王様の娘と盗人の若い男が結婚するというあらすじを舞台上で説明され、不安を感じました。しかし、観ているうちに、アラジンの世界を完璧に表現する役者達の演技に感動しました。四季の役者達は観客に不快感を与えることなく、物語をスムーズに進行させ、最後にはハッピーエンドで幕を閉じました。基本を徹底して身につけた役者達だからこそ、ピカソのように意図的に崩した演技ができるのでしょう。

ジーザスクライストスーパースーパー』は、イエス・キリストの最後の7日間の苦悩をロックミュージカルで描いた野心作です。イエスは死に対する迷いを抱え、奇跡を求める民衆に対して自分で直すように突き放してしまいます。その結果、民衆はイエスに敵意を向け、人心を攪乱した罪で見放されるイエスの孤独と苦悩が強く伝わってきました。

特に岩谷時子の訳詞が素晴らしく、YouTubeで海外のバージョンを見ても遜色ない、日本向けの情緒豊かな表現がされています。マグダラのマリアが歌う『私はジーザスがわからない』は胸に迫るもので、信仰を巡る苦悩が舞台上のカオスに現れています。マリアの登場シーンは、観客に希望と癒しをもたらしました。

三島由紀夫の作品に没頭する中で出会った浅利慶太氏が創設した劇団四季に、多くの感動をもらいました。芝居は実業ではなく虚業とも言われますが、私が次に向かう力を得るのは、目に見えない心の力からです。浅利慶太氏が昨年亡くなり、追悼公演を全て観るつもりです。氏のご冥福をお祈りいたします。


劇団四季の魅力と観劇の心得
劇団四季は、日本の演劇界で長い歴史と多くの名作を生み出してきました。『ジーザスクライストスーパースター』はその一例であり、人間イエスの苦悩を描いた重厚な物語に、ロックミュージカルという斬新なアプローチが加わっています。劇団四季の舞台を観る際には、以下のポイントに注目してみてください。

役者の演技力: 劇団四季の役者は徹底した訓練を受け、舞台上でのパフォーマンスが非常に高いレベルにあります。その演技力は、物語の世界に引き込む力があります。

舞台装置と演出: 四季の舞台は、視覚的にも楽しめる工夫がされています。『アラジン』の空飛ぶ絨毯のシーンや、『ジーザスクライストスーパースーパー』の独特のセットデザインは、その一例です。

音楽の力: ミュージカルにおいて、音楽は重要な要素です。岩谷時子の訳詞や、劇中で流れる楽曲は、物語の感動をさらに引き立てます。

観劇は、単なる娯楽ではなく、心を揺さぶる体験です。劇団四季の舞台を観ることで、日常から離れ、深い感動と新たな視点を得ることができるでしょう。次回の観劇の際には、ぜひこれらのポイントに注目し、本物の舞台表現を楽しんでください。

ジーザスクライストスーパースーパー』の誕生秘話

ジーザスクライストスーパースーパー』は、1970年代にアンドリュー・ロイド・ウェバーティム・ライスによって作られました。二人は歴史上の人物イエス・キリストの最後の一週間を描く斬新なミュージカルを作りたいと考え、伝統的な宗教観を越えた人間ドラマとしてのイエス像を描きました。当初はアルバムとして発表され、その後ブロードウェイでの公演が成功を収めました。この作品は、ロックミュージカルの先駆けとして評価され、現在でも世界中で上演されています。

このミュージカルの魅力は、イエス人間性に焦点を当て、彼の苦悩や迷いをリアルに描いた点にあります。観る者にとって、信仰や救いとは何かを問いかける深い作品です。劇団四季の『ジーザスクライストスーパースーパー』は、この原作の持つ力を忠実に再現しつつ、岩谷時子の訳詞によって日本人の心にも深く響くものとなっています。

この記事は、以前に書いた記事をリライトし、新たな視点やエピソードを加えてお届けしました。劇団四季の魅力を存分に感じられるこの作品、ぜひ観てみてください。

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