仕事を終えて、夜空を見上げると、お月さまが煌々と輝いていた。何度見たのかわからないほど、見慣れた光景である。すぐ頭に浮かんだのは、数年前に骨折をして、仕事もできず、夜中に、自宅近くを散歩していた時に、夜空を見上げると、同じく、満月であった。以前は、ピッカピカの満月、今日は、おぼろな満月である。骨折していた頃の月と比べると、今日は、五体満足で、身体も別段悪いところがないから、幸福感が湧いてくる。
焼肉味ん味んという焼肉屋が、八王子の各地にある。注文すると、どれもボリュームがあって、肉質も値段の割にまぁまぁいい。ホルモン系が売りの店だったというのもあって、牛ホルモンは実にうまい。プロ野球のない毎週月曜日は、休みの前日というのもあって、外食で、我ながらプチ贅沢なるものをしてきた。この頃は、スシローばかりになっていたけど、今日は、久しぶりに、焼肉にした。体重計にのると、この頃、基準体重より、2kgほど少ないから、肉を食べて、少し太ろうと考えた。
隣には、4人家族で、30代に入るか入らないかぐらいの女性と赤ちゃん、50歳ぐらいの男性、高校生ぐらいの男性が1人であった。父親が再婚したということだろうか。高校生ぐらいの男性が、どこか浮いているようで、1人邪魔になっている気がするのかもしれぬ。挙動が少し不審である。女性は、目を大きくして、彼と応対している。ちょっと困っているといった感じだ。その一家?が帰る時、女性が、抱いている赤ちゃんに、元気かなと、赤ちゃん言葉で問いかけている。赤ちゃんは、顔が笑顔になっているようにも見えた。この頃から、愛情を注いで育てているものなのだと今さらながら驚く。私の記憶の無い中で、愛情豊かに接してくれたのだろうということが、頭に浮かんでくるような気がする。
それも、数年前に見上げた満月や、今宵見たおぼろ月夜のように、いつもあるようでなく、いつもないようであるものに思えるからだろう。その後に、隣の席に入ってきたグループは、40代ぐらいの無理に若作りした男女と、職場の同僚だろうか、きちっと背広で決めた爽やかで顔をした普通の男性である。どうやらカップルではないらしい。話し方に距離があるし、メニュー表を、女性が手にして、勝手に注文する勢いだ。あまり仲が良さそうに見えなかったけれど、注文もスムーズにまとまり、手慣れた印象を受ける。職場の同僚だろうか? と思い浮かぶのは、仏頂面でありながら連携がとれているなあという感想からくるものである。
焼肉が焼きあがるたびに、特性ダレにつけて、口に流し込む。脂が多いほどではないが、ぷりぷりして厚みのある身肉がたまらない。噛むとじゅわぁっと旨味が、口もとに拡がっていく。いつも、混雑している店内も、空席がちらほらだ。外食でも、雨が降ると客数減になるのは変わらない。来週の月曜日は、果たして何を食べにいけばいい!