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風俗で恋をする気持ちにも、スタンダールは優しく寄り添う!

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ガチ恋をしているソープ嬢に入って、暖簾に腕押しという気持ちになるのは、下記の内容からあきらかだ。スタンダールの心理描写は一級品である。

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「あの想像上の魅力で相手を覆ってしまう。そのあとで近づき眺めるが、あるがままに眺めるのではなく、自分で作り上げたとおりに眺め、実はそうした対象の外観をまとった自分自身を楽しんでいるだけなのに、その対象じたいを楽しんでいると思いこむ。ところがある日、いっさいを自分でまかなうのにうんざりし、愛する相手がボールを投げ返してくれないのに気づく。熱は冷め、自尊心が味わった挫折ゆえに、今まで買いかぶっていた相手に対して不当なふるまいをするようになる。」

私がガチ恋している風俗嬢に入って、帰り際、ぞんざいな態度をとってしまったのも、このような心理からくるものだろう。すべてが自分勝手で進めているに過ぎず、また、相手と付き合うぐらいの関係になるには、時間とお金があまりにもかかり過ぎるということだ。ほとんど確率は無いに等しいのに……

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女性に対しては最初は慎重に、次からは大胆にという恋愛訓を聞いたことがあるだろう。スタンダールの心理分析をみてみよう。これが、200年以上も前の著作であることが信じられない。

「女は精神の化合物である才知とはなにかを理解していないようだ。(中略)私はそこから、女に対してはあらゆることを大胆にやるべきであると結論した。ラサール将軍がしくじった女を相手に、ひげを生やして愛の誓いばかりを立てる大尉が成功を収める。男の美点については、きっと女には見えない一面があるのだろう。」
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恋する相手と話をする時、ぎこちなくなって、自然さが失われてしまうことが多くなる。何人も彼女をつくって、同時進行でいると、1人の女性に振られてもへっちゃらであるゆえに、余裕感が出てくるから、さらにモテるというが、そんなことよりも、やりやすい方法が書かれている。

「思うに、恋愛の技術というのはその時々の陶酔の度合いに応じた内容を正確にしゃべること、言いかえれば、自分の魂の声を聴くことに尽きる。これを、それほどたやすいことと思ってはいけない。真剣に恋している男は、恋人からうれしくなるようなことを言われると、しゃべる気力も失うのだ。」

「恋人の欺瞞ほど、彼女たちがこの世で恐れるものはないから、どれほどささいな、罪のないごまかしであっても、瞬時にして彼女たちの幸福を奪い、不信に陥れてしまう。」

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「まじめな女は激しさや予想外のことを嫌う。だがそれこそが情熱の特徴なのだ。激しさは羞恥心を脅かすだけではなく、女を身構えさせる」

「男が往々にして犯す間違いは、自分でしゃれている、気がきいている、感動的だと思うことを言えるようになりたいと願うことにある。そうではなく、世の堅苦しさから心を解き放ち、心がその瞬間に感じていることを率直に表現できる親密さと、自然さとに至るべきなのだ」

スタンダールは、女を沢山つくれば、自然さが出て、余裕感が出て女にモテるよという俗的なことではなく、頭がとってもいい人だから、頭で解決をはかろうとする。だから面白い。


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最後に、スタンダールが情熱を賛美していたくだりを記載した。

「少年期の偶然のめぐりあわせのあと、心は共感に対して閉ざしてしまう。死や不在によって幼なじみたちから遠ざけられ、冷淡な仲間とともに、物差しを片手に、つねに頭の中で利害や虚栄心にからむ計算をしながら人生をおくるはめになる。少しずつ、心の中の優しく高貴な部分が、耕されることがないために不毛となり、人は三十歳にもならないうちに、あらゆる心地よい、優しい感覚を前に凝り固まってしまう。恋愛はこの荒涼たる砂漠の真ん中に、少年期よりも豊かで、みずみずしい感情の泉をわきあがらせるのだ」

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カテゴリ
阪神タイガース・プロ野球・スポーツ