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バビロンに観る「夢追い人の孤独と感傷」

デイミアンチャゼル監督の『バビロン』を観てきた。2月10日開演ということだったが、1週間経つと、1日1本の上映ということで、随分と人気がない。ロッテントマトの評価サイトでも、評論家のトマト指数も50点台、大衆の人気をあらわすポップコーン指数も50点台と振るわない。彼の作品は玄人好みであるのは、『セッション』『ファーストマン』でもみられる傾向であるが、今回は、特に点数が低いのだ。
私が彼の作品に惹かれたのは、立川の映画館で、『セッション』を観たときからだ。ドラムに人生を賭ける青年の話で、そのために恋人とも別れ、情熱をドラムに傾けるほど、できない自分への感傷的な気持ちが痛いほど映像を通して伝わってきた。夢を一途に追い、情熱を持つ者を待ち受けているのは、ほとんど感傷と孤独である。井の中の蛙でいるうちはいいが、ひとたび社会に出れば、凄い者はゴロゴロいて、少人数の中で1番になるのも難しい。この監督は、その思いをいつも映画のテーマに据えていると、私は勝手に解釈している。人類で初めて月に降り立った男が地球に戻ってきて、喜ぶ奥さんとガラス越しに手を合わせる場面で、男の顔がクローズアップされるが、その顔は徹底して孤独である。
夢追い人の孤独や感傷は、反大衆的であるがゆえに、娯楽を求めて映画館に足を運ぶ多数派からは、映像の技術が高い割に人気がでないのだろう。
今回も、おおかた予想通りであった。
無声映画における大俳優やスターに躍り出た女優が、音声有の映画になることで、衰退の一途を辿る様を描いていく。大物俳優が発声のレクチャーを受けている時にテーブルのグラスを叩き割って暴れるところ、悪評が女優の耳に入り、その苛立ちから毒蛇と格闘を始め、首を咬まれてしまうところ、車に戻ると女優が消えていて、誰もいない夜の街で、大声で彼女の名前を叫ぶところなど、個人的に胸に迫るものがあった。
今回の作品の評価が悪いから、次回作は日本で上映されないとなっては困る。彼の新しい作品を観ることを期待している。3年後だろうか?
バビロンの誉れ高いラストシーン。映画への愛に溢れている↓
https://m.youtube.com/watch?v=RZuNSDYtZQA

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カテゴリ
阪神タイガース・プロ野球・スポーツ