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三島由紀夫『午後の曳航』の地、横浜山手を訪ねて!

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帰りに食べた肉寿司。レモンサワー1杯10円をうたっている。肉寿司6貫で1640円であった。呑むための店であり、食事向きではないのだろうけど、ぼったくられた感は否めない。翌日、これが原因かどうかはわからないけど、蕁麻疹になった。

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↑「喜びの涙が不安を取り除き、彼らを一息に万能の人間の心境へ押し上げていた。竜二の心は痺れたようになって、懐かしささえ素直に感じなかった。車窓の左右にある山下公園もマリン・タワーも、何度か心に反芻した姿そのままに、そこに自明に存在しているとしか思えなかった。」 

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港の見える丘公園からの夜景。「山手町の丘へ登って、昨夜と同じ公園で時をすごすことの他は思いつかなかった」

「眼下には古い倉庫街が赤い屋根を並べ、北のほうの山下埠頭には、鉄筋アパートのような新式の倉庫がいくつか建ちかけていた。運河は伝馬船や艀の往来に埋もれ、倉庫街のかなたには、こまかい寄木細工のような貯木場が、その外辺から海へ長い突堤を伸ばしていた。

 港の風景の巨大な鉄敷の上に、夏の朝の日光が、いちめんに板金のように打ち延ばされて輝やいていた。」

 

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神奈川近代文学館近代文学の作家であるから馴染みある面々で、1日中いても飽きない内容だ。また行きたいなぁと思う。

f:id:nyoraikun:20201128203451j:image↓↑竜二を殺すために待ち合せた場所もこの樫の巨木の前であろう。

「プールへは、樫の巨木の繁った馬の背中のような丘から下りてゆくことができた。彼らは斜面の途中で立ち止って、冬の日にぎらぎらと石英が光っている外人墓地を、常盤木の木の間から眺めやった。

 ここから見ると、二三段の段丘に立ち並んだ石の十字架や墓石は、みんなこちらへ背を向けている。墓のあいだには蘇鉄の黒っぽい緑がある。温室物の切花が供えられていて、十字架のかげに時ならぬ鮮やかな赤や黄がある。

 この丘からは、右方にその異人墓、正面に谷底の人家の屋根屋根の上にマリン・タワーが望まれ、プールは左方の谷間になっている。オフ・シーズンのプールの観覧席は、たびたび彼らのうってつけの議場になった。」f:id:nyoraikun:20201128203459j:imagef:id:nyoraikun:20201128203505j:imagef:id:nyoraikun:20201128203514j:imagef:id:nyoraikun:20201128203539j:image竜二を暗殺した場所↓当時はもっと未開で、少年達の秘密基地のようなところであったと思われる。

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少年達の議場の一つである山下埠頭↓f:id:nyoraikun:20201128203549j:image

「山下埠頭の突端へ行く道すがら、海からまともに吹きつけてくる北風に顔をそむけた」と作品にあるが、すごい風が顔を吹きつけてくるので、三島が訪れた当時と変わらないと思った。「海は鼠いろに騒立ち、二三の浮標はゆらめいて、たえず波に洗われていた。」

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詐欺師みーちゃんと歩いた場所。花はどれも枯れていた。

 

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「新港埠頭はふしぎな抽象的な街だった。清潔すぎる街路、枯れたプラタナスの並木、乏しい人通り、古風な赤煉瓦の倉庫や、ルネサンスまがいの倉庫会社のビル、これらの間の引込線を、古めかしい機関車が黒煙を吐いて通った。その小体な踏切にも、何となく本物らしくない、玩具めいた感じがあった。この街の非現実感は、街のすべての機能が航海にだけ向かって働らき、一つ一つの煉瓦までが海にだけ心を奪われ、海がこの街を単純化し抽象化してしまったお返しに、今度は街が、その機能の現実感を失って、ただ夢に気をとられているような姿に化してしまったためにちがいない。

 あまつさえ雨が降っていた。倉庫の古い赤煉瓦はあざやかな朱を流した。屋根々々を抜んでる多くの檣は濡れていた。」

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「舶来洋品店レックスは、元町でも名高い老舗で、良人の死後は房子が取りしきっている。

 その小体なスペイン風の2階建はよく目立ち、厚い白壁には西洋花頭窓を穿って、地味で趣味のいいディスプレイをしている。小さな中庭(パチオ)と、吹抜けの中二階があり、中庭(パチオ)にはスペイン渡りのタイルを敷きつめ、中央に噴泉を置いている。無造作にヴィヴァックスのネクタイを数本腕にかけた青銅のバッカスなどが、実は非売品の値打物で、この店には商売のほかに、主人の集めた西洋骨董がいっぱいあった。」

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みーちゃんと眺めた巨大の船は停まっていなかった↓

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阪神タイガース・プロ野球・スポーツ