コロナウィルスによる自粛により、今まで通りに働けなくなった女性が将来の伴侶を求めだしたというのであろうか? ツヴァイで婚活を始めて、敬遠されるのが当たり前だった私であるが、以前と比べて、コンタクトを申込み、承諾される比率は、以前の3倍である。
6月23日(火)の18時にAさんと新宿駅西口小田急百貨店入口前で待っていた。急にお腹が痛くなり、トイレに駆け込んだ。携帯が振動する。
「今、Mさんらしい人を見かけました。青い服を着ていらっしゃいますよね。化粧品売場で待っていますので、ゆっくりしてきてください」 化粧品売場の横を通る。白いスプライトの入った青いワンピースを着ていて、年相応のオシャレな雰囲気である。マスクをしているから、美人に見える。
ルノアールまでそれなりに歩きますけど、そこに行きますか? と渋面をつくる。私は正直どこでもいいのだ。せっかく調べてくれたから、ルノアールに行こうということになった。店内は、3密を避けるために、1テーブルごとに間隔を空けている。座ると広々としていて、ホテルのラウンジに来ている気分で、これは幸先がいいぞと思った。
マスクと取ると、小さい鼻と小さい口が露わになる。これは、ちょいブスの顔だ。
まぶたを伏せるように笑うのは、慈愛があって、触れるものの心に暖かさをもたらすようで魅力的であった。
彼女は、専修大学の法学部を卒業して、新卒で入社したところが、ブラックで辞めてから、派遣の仕事を転々としてきたようである。今は、医療機器販売の事務仕事を契約社員として勤務しているようだ。上司に恵まれて、とても働きやすく満足していると笑った。
ツヴァイに加入したのも、テレワークにより出社できなくなったため、今後の先行きが不安になったためだろう。まだ、加入して1週間しか経っていない。この初々しさによる好意は、半減して考えてちょうど良い。これからいくつかの男性とやりとりしていく上で、私の存在は、彼女の煩悩から生じる雲に隠れてしまうだろう。
法学を志しただけあって、学生の頃は、非行に走る少年・少女達と活動を共にするボランティアをしていて、現在も性犯罪に合われた方達と、性犯罪を厳罰化する法律に改正するための運動をしていると話していた。海が好きですとAさんは言う。
私は先月訪れた下田の海を見据える吉田松陰の銅像が脳裏に浮かんだ。「身はたとえ武蔵の野辺に朽ちぬとも、とどめおかまし大和魂」
私は随分と、この純血な心情から遠いところへきたものだ!
最後に、仲良くなってからだと困るので、聞きますけど、宗教はやっていますか? と聞かれた。
私の父が空海の生涯に憧れて、高野山の寺で小僧をしながら、高野山大学に4年間通った話をした。女人禁制にして、高野山を修行の道場にして、ひたすら、学校をつくり、書物をのこし、池をつくりと社会的価値の高いものに昇華しようとする考え方に、影響を受けてきたことは認めるけれど、無宗教であることには変わりないと答えた。
話し合いを終えてからのメール。
私「お疲れ様でした!
今日は忙しい中、お会いして頂きありがとうございました。とても綺麗で知的な方で、お誘いも多くあるとは思いますが、また都合が良い時で構いませんので、お会い出来たら嬉しいです!
お話に、法による正義を感じ、吉田松陰の銅像がある下田の海を思い出しました。両親も寂しいでしょうから、自宅に時々帰って庭の剪定でもしてあげてくださいね!
今日はありがとうございました!」
Aさん「Mさん
今日はお時間をいただきありがとうございました。
無事にお買い物できて、いま帰路に着きました。
お茶ごちそうさまでした。
次にお会いするときには私にごちそうさせてくださいね。
Mさんにいろいろお話し聞かせていただいたおかげで、婚活がんばろうって思えました。
スーパーの鮮魚担当のお仕事は大変ですけど、お身体を大切に頑張ってくださいね。
私の両親のことも気づかっていただきありがとうございます。
たくさん親孝行しようと思います。
下田には吉田松陰の銅像があるんですね。全然知りませんでした。今度行く機会があればチェックしますね。
本当に今日はありがとうございました。」