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初恋の人へ!ストーカーの記録5(2012年)

「携帯電話で自分の書いたメール文を読み返していると、店長がのぞいてきました。
何? と楽しそうに聞きます。私は自分がしていることを思い返すと胸が塞がる思いです。もし反対の立場なら、今度いつ電話が鳴るのか恐ろしいし、急にきて何をされるかわからないと不安になるでしょう。日頃の平和が、自分の落ち度でもないことから脅かされて、煮えくり返るほどの怒りを覚えるでしょう。謝っても謝り切れないほどです。母親だって、このことを知れば、どれだけ悲しむかと想像すると、自分で自
分が嫌になります。ストーカー関連の本も読んでみると、梗概は、自他を区別して付き合うことができない子供がストーカーをやるというものが大体です。私はストーカーだ等と認めたくありません。それで、三島由紀夫著の『近代能楽集』に収録されている綾の鼓を再読しました。鳴りもしない綾の鼓を渡されて、鳴れば恋をかなえてやると言われて、鼓を打ち続ける男の心情に感情移入して、何度か涙をこぼしそうになりました。自分は相手が嫌がることをしたくはありません。ごめんなさい。でも、もう一度、会いたいです。」
「スーパーマーケットの鮮魚部会が終わったのが、午後十時半でした。魚も年々売れなくて、3・11以降の景気の低迷も大きく響いて、労務環境は悪くなる一方です。以前、二度ほど手紙をお送りしました。最初は高校二年生の秋でした。野球の才能も底が見えてきて、プロ野球選手にはなれないとわかって、落ち込んでいたときでした。二度目にお送りしたときは、社会人になって鮮魚部で主任になってみたものの小さい会社だから、休みがほとんどとれなくて、この先、どうしようと悩んでいた時でした。一度目と二度目の間に、一度、かっぱ寿司でお会いしたことがあったんです。父親と店内に入ると、君がこわい顔をして立っています。私も冷や汗が出てきて、知らない振りをするのがやっとでした。君は知的インドア風のものわかりが良くて優しいお兄さんといった感じの人と一緒だったんです。仲がとても良さそうでした。しかし、私は嫉妬するよりも出会えた喜びの方が勝っていました。遠くから楽しそうに話している二人を、ただ笑顔で眺めていました。自分のことを少し好きになりました。大学生になったばかりで、不安や悲しみも無かったからでしょうか。そう考えると、私の求愛も随分手前勝手ものです。でも、高校生の頃からコンビニで立ち読みをしていて、窓ガラス越しに君のような姿が見えると、清冽な動悸に襲われて、胸が立ち騒いで、本をその場に置き、確認しにいったこともあります。自分に対してだけ誠実であるなら、中学校を卒業してから、ずっと、君のことを思い続けてきました。つらいことがあると、君の、人の顔を正視する真面目な表情が懐かしく思い出されていたたまれなくなります。目的を持たない洞察力が我々をいたたまれなくさせる感情が愛なら、最初の手紙の文末に、愛する知里さんへと記したこともあながち間違いではありません。今まで生きてきた中で、一番会いたい人に、一方的ではあるけれど、コンタクトをとれることが嬉しいです。哀しい幸せではあるけれど……ごめんなさい。おやすみ」

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カテゴリ
阪神タイガース・プロ野球・スポーツ