nyoraikunのブログ

日々に出会った美を追求していく!

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キャッツデートの彼女は怒り狂った別人格であった。


↓下記のメールのやり取りを経て、実際、大井町のスタバの前で会った。
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初対面のCAFEでお茶した時の状況はこちら↓
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今回のデートで彼女のことが心底わからなくなった。何故これほど始終苛々しているのか。そのため、状況を詳細に記すことにした。長文を失礼する。

グレーのロングコートを着て、首回りには、ふかふかに結んだキャメルのマフラーを巻いてベンチに腰掛けていた。オシャレだなぁとあらためて感心した。しかし、目が鋭く前を凝視していて、何か不満があるように思えた。私と目が合うと彼女は勢いよく立ち上がった。
「もう行くの?」
「今、行ってもまだ開場していないから、ちょっとここで休んでいきましょうか」
 何か落ち着かない感じがした。婚活では、相手も複数の方と同時進行しているから、内実、その不満から苛々していることが多い。綺麗でオシャレで会話も洗練されている彼女のことだから、申し込みやその継続も多いだろうし、私がその中で埋もれてきているだろうと考えた。お別れを告げる1日にしようとするYさんの腹積もりかもしれない。
「ごめんね。返事が遅くなって」
「いえいえ、忙しい中、催促してすみません」
「12月は休みがほとんどとれないよ」
 やはり婚活が忙しくなってきたのだろう。私ははじかれたのだと、耳から下がる小さく青い水晶に目をやった。ビジュアルの細かいところまで決まっていて、これなら、男性の心を虜にするのも無理はない。私にとって、しょせんは高嶺の花なのだ。
「お仕事、大変ですか?」
 はいっ? と怒りを堪えるように顔を向ける。
「パートさんが急に辞めてしまって、夜勤がピンチだから、他の老人ホームから手伝いに来て貰っているけど……」
「自分のところも、一年で一番大変な年末商戦を終えたら、派遣でバリバリ刺身を切ってくれている人が辞めるから、パートナーを補充してもらっているけど、年明けから大変だなぁと思うよ」
「でも募集すれば入るんでしょ」
「他の店は、募集しても来なくて困っている話を聞くけど、今働いている店では、それなりに入ってくる感じかな。今、忘年会、クリスマス、年末年始と大変な時期だから、困ったことだね」
「繁忙期は無いんだけど、いつも定住している訳だから……それにしても、夜勤をどうしようかと困っていてね」
クリスマスパーティーでも、それぞれ食べてはいけないものがあったりする訳だから、簡単にメニューとか決められないよね。大変じゃない?」
「提携している医者がいるんだけど、こういうのは駄目とか言ってくるけど、この先、長く生きられないんだから、好きなもの食わせてやればいいんだよ」
 と吐き捨てるようなキツい言い方をする。介護リーダーのらしからぬ発言に恐怖を抱いた。不機嫌になる負の感情が心を覆ってくるようで、笑顔になったかと思うとすぐに口元が震えていたりしている。癇癪の虫がしつこく、心中を駆け回っているようだ。
 開場の時間が迫っていたから、劇場までの道を案内することになった。
白い円形のキャッツ劇場が現れると、黒だと思っていたら白なんだと驚きを隠せないようだ。入口に向かう1本の狭い通りを歩いていく。彼女はバッグから封筒を取り出して、チケットの代金と渡してきた。高いからと断ると、高いから渡すんでしょ、駄目よとお姉さんのようにうなずいてみせた。おごってもらって当たり前という女性ばかりの溝の中に咲く蓮華のように美しいと思った。君を守りたいと思った。
 劇場に入ると、猫目線にさせるために、すべてのゴミのオブジェが通常より大きくなっている。Yさんはあれこれ指を差しては、楽しそうにしている。
 
入場口で貰ったライオンキングのパンフレットを眺めていると、動物が沢山出てくるよと興奮した調子で話かけてくる。前に見た時より、動物の格好もよりよく変えているみたいだってテレビでやっていたねと応えると、白けたのか、急に顔を背けた。一度、席を立ち、トイレに行き冷静になってみた。席に戻ってから、それとなく話し掛けてみた。
「ライオンキングは動物が沢山出てくるけど、キリンの首が天井につくぐらい長かったのと、鳥をヒモで飛ばしていたよね」
「そうそう、私、鳥を飛ばしている役者のすぐ傍で観ていたの」
 前半を終えてから、途中休憩の時間に、喉は乾いた? と聞くと、バッグの中にあるからと受けつけない。通路に出てからは、楽しくなってきたのか、黄色い毛をした猫はいつ出てくるのかなと急に笑顔になった。海賊姿の猫もまだ出ていないよねと興味津々だ。一番可愛いのは黒と白の格好をしたマジシャンの猫らしい。
 舞台を終えてから、あまり気がないみたいだから、居酒屋でも行こうかと軽く誘ってみた。いいよとキツい顔をした。大通りに出て、横断歩道を渡ると、左手に居酒屋名物家の看板がある。6月頃に婚活で、ある女性と来たお店だ。料理がとても美味しかった思い出がある。
 メニュー表を前にしても、彼女はホットウーロン茶を頼んむだけだった。私は、ビールと刺身だけを注文することにした。
「開演前に隣でサンドウィッチを食べ出したおばさん達がいたじゃん。ふざんけんなよと思ったよ。食べる場所じゃねえだろう」
 相変わらずYさんはぼやいている。
「上演中に、携帯がブルブル鳴っているから、誰かと思ったら、例のパニック障害の担当者で、明太子出しますなんて言うんだよ。そんなこと自分で判断しろよと思うよ」
 と相手の感情に合わせてみた。
「それ、おかしいんじゃないの。私も職場のグループラインがあるけど、休みの日は、ブロックしているもん。うるせえとか思うよ。精神が病んでしまって、介護の仕事が出来ないから、栄養士の仕事に配置転換になった人がいたんだけど、栄養士なんているのはいらないのに、我慢してつかっていたら、今度は鬱に休職したりするから、困るんだよ」
 と怒りの感情にとらわれている。金剛力士像のように背後から炎がメラメラと湧き上がってくるのが見えるようだ。何を話しても否定される状況である。
「観劇料を払ってくれてありがとう。婚活をやっていて、自分から払う素振りをしたのは、Yさんが初めてだよ。長く婚活をしていると、いいと思った男の人から、一方的に断られたり、連絡を絶たれたりする経験をすると、人格が歪んでくるんじゃないな。Yさんには、そういう辛い思いだけはして欲しくないから、この度、招待しようと思ったんだ」
「何、沢山の人と会ってきたの」
 と涙目になっている。
「もう1年近くやっているけど、すべて終わっているよ」
 彼女はすぐに厳しい目を向けてくる。
「もうやめようと考えていた時に、Yさんに出会ったんだ」
 この居酒屋で私はトイレで4回席を立った。空きっ腹にビールを入れたから、利尿作用が強く出たのだろう。席に戻るたびに、彼女は携帯でメール文を入力している。クリスマスパーティーの催しもので奏でるウクレレの練習の日程調整のことであったり、実家の尻尾が切れた猫の状況であったり、きっと、婚活で出会った男性からの返事に関わるものもあるのだろう。男性と違って女性は、方々とコミュニケーションをとるために、対人関係が忙しくなる傾向がある。
 妹に彼氏が出来たけど結婚はまだしていないこと、同業者の男性とは結婚したくないこと、この先続けていこうとは思うけど、責任ある役は降りてもいいと考えていること、幼い頃は獣医になりたかったけど勉強があまりできなかったこと、性格が短気であること、舞台作品ではマリーアントワネットが一番好きなこと、上野西洋美術館でも催されているハプスブルク展にはいけていないと怒っていること等をそれなりに話してくれた。 
 私の勤めている会社が株式上場していて世間体を気にするから、担当者が休みだけどちょっと朝だけ出てきてくれるなんてことはないから、大変そうだなと口にすると、それは駄目だよと声を大にして怒りだした。 
品川駅で別れる前に、好きなYOUTUBERはいますかと突拍子もないことを聞いて、彼女が笑った。私が扉を出て、お辞儀をすると、まだ可笑しくて笑っているようだった。その場で立ち止まるべきだったかもしれない。私は大勢に紛れて、階段を昇っていった。
 それにしても、最初にお会いしたYさん、メールでやりとりしていた時の文面から覗かれるYさんとは別人であった。でも茶封筒を手にして
奢るなんてしていたら駄目よとお姉さんのようにうなずく姿、猫の撫で方は上からじゃなくて下からやらないとと説明する姿が思い浮かぶほど、愛しさが湧いてくる。
メールを送る↓
「大変お疲れ様でした。口下手なもので、質問ばかりして失礼しました🙇‍♂️興味深いお話が聞けて嬉しかったです。

10年前と比べると、劇場の外観の黒を白に変えているように、芝居の細部を少し今風にしているようでした。ゴミのオブジェも猫目線に合わせ、大きくて面白かったです。

とてもステキな方なので、お仕事とウクレレだけでなく、他にも忙しいでしょうけど、またお会いできたら嬉しいです!

本日はお寒い中、キャッツのご鑑賞にお付き合い頂き、それも観劇料までと申し訳ない気持ちでいっぱいですが、ありがとうございました!」
2日経っても返事がない。↓
「追記
祖母のニチイ老人ホームも男性スタッフしかいなくなって危機的状況だと、昨日、祖母の面倒をみている叔父から母に電話があったそうです💦介護は体力が必要なためか、女性スタッフがほとんどやめてしまったということです。両親が大変心配しておりました。
Yさんも人材難で大変な状況だったのでしょう。観劇どころではない中、来てくれてありがとうございました!無理しないでお身体をお大事にしてくださいね!失礼しました🙇‍♂️」

あれから4日経っても返事はない。返事も無く関係を終える彼女ではないはずだが、今頃、断りの文面でも考えているのかもしれない。

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阪神タイガース・プロ野球・スポーツ