モテない男子が劇的にモテる普遍的方法があるというからこの際試してみた。
ツヴァイの日比谷店でまたもや出会いのセッティングサービスを利用した。今回の相手は、ゲーム会社の事務の仕事をしている女性である。写真では垢抜けて美しいので期待して待っていると、実際は顔色がとても悪く、広島の田舎からきたというのを地でいく野暮ったいグレーのセーターを着ていた。男性と対面して話すことも今回初めてというから、初々しいと思った。初やつじゃのぉと殿様が扇子をかざして口にする場面があるが、権力を手中に収めると、美女の処女権ももらえないかなと考えるに違いない。
案の定、数分で、会話がが滞るからCCRな男であろうとしてみた。
compassion(思いやり)、compliments(誉め言葉)、reassurance(安心させる)ということだけを考えて、とにかく相手のことを聞き出す。
「広島から出てきて大変なことはありませんか?」
「兄が一年前までこっちにいて一緒に住んでいたけど、結婚することになって地元に帰ったんです」
生活力があって、意思も強くて、実家暮らしの私からすると頭が下がります。写真でみて綺麗な方だと思って申し込んだんですけど、実際にお会いすると、さらにお綺麗なので言葉に窮してしまいます。お綺麗ですねとお世辞を次々と無理してでも繰り出す。
「なぜ、こっちの大学に出てきたんですか?」
「ゲームやアニメ関係の会社は東京と横浜に集中しているから」
楽しい会話になってきた。私が高校まで野球をしていて、映画や純文学が好きでという話をした。彼女が空手をしていたことがあるというと、凄いと相槌を打ったあたりからおかしくなった。
彼女は、小さい頃から、ゲームとアニメを支えにして今日まできたのだ。その感謝の気持ちから、ゲームやアニメの会社に就職して、誇りをもって働いている。しかし、野球、映画、文学を趣味とするような人からすれば、アニメもゲームもマイノリティーであり、オタク文化だと白い目を向ける人が多いだろう。
放課後は友達とゲームをして遊び、帰ってからは、部屋でアニメを見る生活、そのものが彼女の支えだとすれば、私の生き方は、優越的な物言いを許してもらえれば、反体制側、アンチに属するのだろう。
とにかく聞き役に徹することはしんどいけど、CCRな男になろうとしたことで見えてきたものがある。今までツヴァイで会った人達のほとんどは、中学・高校と部活未経験者ばかりであったこと。自分に自信が特に持てない人達ばかりなんじゃないか? 話の途中で押し黙ってしまう者、怒り出して席を立つ者、そのたびに私は自分の不器用さを恨んでいたけど、違うのではないか? 我々は自信を失うと、友人の些細な一言でも傷つき、いても立ってもいられないほど苛々するものだと三島由紀夫が話していた。自信がなければ、婚活以前に、人と付き合うことすらできなくなってしまう。私に出会ってくれる女性達は? そうなのかもしれない。致し方ない。振られたけど、答えがみえた気がして少し癒やされた。朋○さん! ありがとう。そして、どうか幸せに!