劇団四季の自由劇場で「ユタと不思議な仲間たち」を観劇しました。上演期間はわずか2週間ほどにも関わらず、満員御礼が続くほどの人気ぶり。四季の作品には常に高い完成度が求められますが、今回もその期待を裏切らないどころか、さらに超えてきました。私も毎回、その卓越した表現力に圧倒され、涙が溢れそうになることもしばしばです。今回も同様に、何度も涙腺が緩み、隣の女性も感動の涙を流していました。
「ユタと不思議な仲間たち」の物語は、父親を亡くした少年ユタが、父の故郷でいじめに苦しみながらも、座敷わらしとされる5人の幽霊たちと出会い、彼らとの交流を通じて成長していくというもの。特に印象的だったのは、幽霊たちが初めて舞台に登場する場面です。その非現実的な存在が一瞬嘘臭く感じられたものの、物語が進むにつれて、彼らの存在が私たちの日常にもある「偶然の出会い」や「幸運」を象徴しているように思えてきました。
私自身、振り返ってみると人生には運命的な出会いや偶然がいくつもありました。その一つひとつがまるで座敷わらしのように、自分の成長や進むべき道を照らしてくれたように思います。こうした「偶然の縁」によって今があると実感すると、最初に感じた違和感も自然と消え、物語の奥深さが一層増しました。
舞台のクライマックスでは、ユタがいじめっ子たちと繰り広げるダンスバトルが圧巻でした。最後に立ち上がったユタが拳を握りしめ、力強くポーズを決めるシーンには観客からも思わず拍手が沸き起こりました。さらに、ユタを支えていた少女が「夢をつづけて」を歌うシーンでは、彼女の美しいビブラートが劇場全体に響き渡り、まるで彼女の想いが観客全員に伝わるかのようでした。この瞬間、座敷わらしのリーダーがその想いを受け取ったことが感じられ、彼らはそっと村を去っていくのです。
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ラストシーンでは、ユタが少女の手を取り、丘の上から去っていく座敷わらしの姿を指さしながら、明るい笑顔を見せます。このシーンには、目には見えないけれど確かに存在する「縁」や「幸運」を感じさせる力があり、舞台表現の高さを改めて実感しました。
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劇団四季の自由劇場は、まさに「目に見えないもの」を描き出す力を持っています。観劇後は心に深い感動が残り、この作品が持つ強いメッセージ性に胸を打たれました。