nyoraikunのブログ

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東京ドームを沸かせた戦い:井上尚弥VSネリ戦の激闘記

帰宅して井上尚弥VSネリの試合を観た。山中慎介が、2試合共、ドーピング違反や、体重超過で敗退し、日本を出禁になった男が、完全なヒールとして、東京ドームの会場に現れた。ファイトマネーが両者10億共いえる内容で、さすがに悪童と言われたネリも、試合まで殊勝気に振舞っていた。試合を盛り上げるために、井上は普通のファイターだとか、単純なスタイルで恐くないと話し、自らヒールとしての役割を買って出ている印象さえ受けた。

試合は、正直、井上がすぐネリをつかまえて、ノックアウトするものだと信じていた。しかし、ネリの左フックがカウンター気味に入り、井上が、生涯初のダウンを喫した。こんなこと、ボクサーなら当たり前のことなのに、このまま、試合が一進一退を続けて、判定までもつれたら、井上のブランドに傷がつくなと余計な心配をした。それほどまで、彼は、絶対強者でなければ、価値の無いものになってしまう。パッキャオは、体格の割に、上位階級の猛者と、敗退覚悟で挑んだ姿そのものがブランドになっていたから、敗退した時は、もっと過酷な条件で、強敵とやりあうこともありそうだ。負けてみても面白いかもしれない。

ダウンして、緑茶を飲む手が震えた。どうなるのだろう。このまま、ネリの猛攻にさらされて、敗退するのではと、頭によぎった。井上は、それにしても強かった。10カウントを読み上げるまで、冷静に座ってから立ち上がった。ネリが、次々と変則的なパンチを繰り出して、それを、クリンチしながら、ほとんどをかわし、そのラウンドを乗り切った。1ラウンドのゴングが鳴った時、ネリを方を向いて笑った彼は、ボクシングの醍醐味を味わっているかのように、その陶酔に、私は嫉妬するほどであった。

それから、井上は、ネリのパンチの出どころをつかみ、ファイトスタイルを変更し、始終圧倒して、6ラウンドでノックアウト勝ちをおさめる。次戦がオーストラリアの無敗のグッドマンということで、これも、大したことないように思える。井上が最もダウンを奪うのが難しかった相手だといわれるぐらいのものだろう。1つ懸念される点が、年齢からくる動体視力の衰えだろう。レスリングの霊長類最強女子と言われた吉田沙保里も、30代に入り、身体のキレが衰えているのを感じ、レスリングスタイルを変えることを迫られたと、後に語っている。プロ野球3度の三冠王落合博満も、打撃は衰えとの闘いで、何度も打撃フォームの微調整に追われていたということだ。

見る力は、直接動作に表れる。盲目なら、杖がなければ歩くこともできないだろう。境界知能者の動作が不器用なのは、ものを正確に見られないことから起きる。プロの世界なら、視神経から生じた情報が瞬時に動けなけらば、その世界から退場を迫られるものだ。今回のダウンは、直接、それと結びつけて考えるのは、軽率であるが、これからは、自らの衰えとも向き合っていかなければ、自ら名乗るラスボスとは、容易にいかないだろう。これからの活躍を見たいと思う。
負けてくれないと面白くないという視聴者も多い。私もそう思う。この言葉が、彼への最大のリスペクトだろう。

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