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青梅亀の井ホテル 異常気象と老いる両親の心情 #異常気象 #老い

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青梅の桜は、まだ咲いているようだ。1968年4月13日に、ここ青梅の愛宕神社の桜の前で、三島由紀夫は、楯の会の制服が出来た記念に撮影をするためにきた。今から56年前に、三島の思いは、ここ青梅を目指していた。

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青梅は、東京都で戦災を免れた物静かな街である。日本の魂を護る場所であると縁起をかついでいたところもあるのだろう。急な階段を登って、愛宕神社のお参りするところから振り返ると、昔は、遠く川を挟んだ向かい側に愛宕神社があったということだ。

 

吉川英治記念館の愛宕神社へ花見にいく予定であったが、母親が、前回は猿がいるかもしれないし、今回は、熊が出るかもしれないと、乗り気ではない。腰が海老にように丸まってきて、身体に痛みやしびれが生じ始めると、気力も低下するものだ。この頃、小さなことでも不満をあらわにするようになった。歳をとっても、背筋がまっすぐな人もいるのに、どうしてだろう。60歳過ぎた頃から、少し、猫背になったのを知ったけれど、それから、稲穂が実ほど垂れるように、ゆっくり時間をかけて、丸まっていった。私は心配でしょうがないけれど、どうすることもできない。

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幼い頃、団地住まいだった私は、隣の家のおばあちゃんが、地面に身体がつくほど、前かがみで、歩くのもやっとであった。将来、歳をとると、身体に不自由するものだと知った。釈尊が、門を出るたびに、老いているもの、死んであるもの、病気でいるものをみて、人生について悩んでいたとあるが、もし、王様の跡継ぎ息子のように、酒池肉林の生活をしていたら、いつか失う日のために、恐怖感が湧いてくるのは理解できる。私もドアを開けてすぐ、そのおばあちゃんが目の前を通り過ぎていった。こんなことを記憶しているなんて、きっと、天国にいる隣の家のおばあちゃんは、知るよしもない。今考えると、江戸時代の日本の風土というものを知る貴重な人であった。話しかけても、もう普通に聞き分けられるかもわからない様子でもあったし、でも、今になって、なぜか懐かしい。

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青梅亀の井ホテルのことは、ブログで以前書いたことがあり、料理を楽しみにしていたのにということで、否定的なコメントを残していた。今回は、大分、リニューアルをされていて、メニューは下記のものとなる。随分と、味と見た目を追求していて、その変化に驚かされた。ご飯が有料であることは変わらないけれど、魚を中心とした献立となっている。顔を上げて、料理を食べる客を見ていても、ほとんどが、高齢の方達ばかりである。以前のかんぽの宿の方が、大判振る舞いといった感じであるが、鍋には、肉が沢山入っていて、肉が苦手な父親は、皆、私に渡してきた。

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メバチ鮪もカンパチも最上等なもので、鮮度抜群である。驚いたのは、青梅のワサビは東京都下で有名であるが、べっとりつけて食べても、ほのかな風味があるだけで、鼻をさす辛さはない。朝日スーパードライも、キンキンに冷えていて、何杯でもごぶごぶ飲める勢いだ。

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茶椀蒸しはシンプルなもので、中に海老や帆立等の具が入っていないことで、本来の味わいを楽しめる。つくり側としては、その分、逃げられないのであって、料理長江田のプライドを感じる。天ぷらは、別に頼んだもので、どれもサクッと噛む間に、じわぁっと口にとろけていくようにうまい。このレンゲにのった塩が、実に合う。

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この肉団子も、いわしと魚介の使用で、胃に優しい。メカジキが、血合いの部分と肉の部分でくっついてある。魚屋の私であるが、どういう切り方をしたのか気になるところだ。この旬野菜の色合いも食欲をそそる。ゴマ豆乳仕立であり、残ったスープもすべて飲み干した。

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メバル木の芽味噌焼きも、淡泊な味わいに、コクがあって、実にテンションが上がる。口にふわっととける美味しさは、時に、物足りなさを覚えるものだが、このどぎつい木の芽色がそうはさせない。焼き芋とレンコンによるシナジーが形成され、この1枚の皿による世界に、この青梅にこられる客との意思疎通を図る挑戦が、ぎっしりつまっている。そう考えると、何かを理解しようと思ったら、遠くを探すなということだ。

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料理の終盤では、海老新丈変わり揚げという揚げ物が出てくる。これが、噛む度に、油の良質な味わいが、込み上げてきて、簡単に飲み込ませてくれない。玉ねぎのような苦みも、少し舌先をかすめるので、酒がどんどん進んでいく。

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コーヒープリンと蕎麦茶で、納得の懐石料理であった。確かに、口コミでみられるように、天ぷらを単品でとらなければ、ちょっと少ないかもしれない。四十路に入り、私も、小食になってきたのかもしれぬ。前は、2時間ぐらい、苦しくなって寝ていることもあった。京都柊や旅館の仲居さんから、食べ放題にいけるんちゃいますと言われたこともある。

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夜鳴き蕎麦は、見た目ほど辛くはない。けど、何度か喉に刺激があって咳をした。旅館で働く人も少なくなり、活気がない印象は受ける。夜中の10時になっても、ゲームコーナーで麻雀をして楽しんでいた人、喫茶店でカラオケをしていて、初対面の宿泊客同士で歌をうたい、上手いと拍手をし合って楽しんだこともあった。すべては、風と共に去りぬというのだろう。でも、その限られたリソースを、多くの宿泊客が望むところに、集中させ、この青梅のホテルを、低価格のまま蘇らせた手腕は、尊敬できるものだ。

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亀の井饅頭が美味しいから、レジで買うために、クレジットカードの有無等を尋ねた時、当初、レジのおばさんの態度はぞんざいな印象を受けた。しかし、それをリカバリーするべく、卑屈な笑顔を浮かべて、彼女にとって最大限の誠意というものに変わった。きっと、クレームやアンケートの結果で、評価が下がる仕組みがそこにあるのかもしれない。

 

両親が、歳をとったことで、また来られるかわからない。温暖化が進み、毎年、夏は、殺人的な暑さになっている。死亡者も、うなぎのぼりだ。もう今年の夏は越せないかもしれないと、両親は弱気だ。最近の異常気象が、SDGSを皆が意識する動機になっているのは事実である。そうでなければ、私達が生きている間だけよければいいと考えるのが、ひどいけど、人間の本性ではあるのだから……

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以前書いた青梅の記事↓

 

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阪神タイガース・プロ野球・スポーツ