風俗嬢にガチ恋をしている私としては、元歌舞伎町ホストNO1の勧める『明日、私は誰かの彼女』を読んでみて、目が覚める内容であった。
幼い頃に母親から人として扱われず虐待を受けて育ち、顔の右側に火傷の痕が残った雪は、彼女代行業(レンタル彼女)の仕事をしている。
ホストが読んで注目するところは3点ある。
1点目は、雪は、男性と会うたびに、ノートをつけて、リピートの見込みがあるかどうかを考える。「人は一度でも満たされてしまったら同じものじゃ満足出来なくなる。幸福は麻薬なんだよ」という言葉を雪は放つが、これは、ホストクラブで働いていた時のホストの心境と全く同じということだ。続いて、三四回目ぐらい、ただデートするだけじゃ満足できなくなって、本気で好きになったとか、お店を通さないで会いたいとか言ってくると、雪はあきれたように、ため息をこぼしている。きっと、私が通っている高級ソープ嬢も、次あたり同じことを言うに違いないと身構えているだろう。
「カノジョでいる時語った言葉の中に、ホントウのことなんて一つもないのに。当たり前でしょ、都合のいい女を演じているんだから……、この嘘で塗り固められた私のことを、一体何をもって好きと言えるのか」
「見た目の美しさが損なわれたら、同じ強さで好きと言ってくれるの?」
雪をレンタルする男性に壮太という新卒の会社員が登場する。当初、友達に彼女がいると見栄をはった手前、引き返せなくなり、雪を彼女としてレンタルしたのであるが、CDショップ偶然顔を合わせ、雪の焼けただれた顔を壮太は見てしまう。
次に雪をレンタルした時に、壮太は雪にこう謝る。
「俺はずるいよね。こうやってお店に予約を入れることで雪ちゃんの自由を奪っている。俺のことどんなに嫌いだったとしても、雪ちゃんは拒めないのに……」
というと、珍しく雪は、意外とわかってるじゃんと思い、反応する。素顔を知られたことで、心を自然と開いていく姿が描かれているのをみると、人は皆、隠していることを、あらいざらいぶちまけたいものなのだろう。キリスト教が、世界で最も信仰する宗教になったのも、教会で行われる洗礼の後、神父さんに、自らの罪を、告白する儀式が、大衆に受けるからかもしれないと考えてみたりした。
2点目は、壮太が何故、この仕事をしているの? と雪に聞くところで、雪は、「母が病気なの。父は私が生まれてからすぐ亡くなって、中高の頃は入院している母に代わって伯父夫婦が面倒を見てくれた。伯父には散々お世話になったから、もう頼りたくなくて、奨学金を借りながらこの仕事をして、なんとか一人でやっていけてる。この仕事を選んだのは、普通のバイトより自由に使える時間が多いから……母親は、新しい薬が効いているみたいで……、顔色も最近は随分良くなって、お見舞いにいくとお母さんすごく喜んでくれるの、雪の笑顔が一番の薬だよって」
と、嘘をつく時は本当のことを織り交ぜながら話す。そうすると真実味が増すことを嫌というほど知っている。このことは、NO1ホストが、後輩ホストを指導する時に、いつも教えていたことで、この明日カノの描写は、水商売歴10年の本職をも唸らすほどの出来栄えだそうだ。そして、雪は自分で嘘をついて、自分でダメージを受けている。そんなに優しい母親なんていなかったのにと……。
レンタル彼女の雪と、新卒会社員の壮太はの距離は、少しずつ近づいてはいるけれど、やはり、雪は仕事の立ち位置を捨てようとはしない。
「壮太君は私にとってはすごくいいお客さんだけど、人って同じものじゃ次第に満足できなくなる。貸し切りの次はどうしたくなるの? そして私に会うには、時間の分だけお金がかかる」
今、私がガチ恋している風俗嬢の心境もこの通りだろう。風俗嬢を口説くには、逆説的に聞こえるかもしれないけど、この思考の逆をいくように、口説かず誘わず見返りを一切求めないということではないか? 彼女達が心底飢えているものは、無償の愛だといえると思う。それでなびいてこなければ、私自身に何も価値を感じないということだろう。
壮太と雪は、温泉旅行をして、宿で壮太がガチで告白をする。朝になって、壮太は帰りに新幹線のチケットを雪に渡して、1時間席を空けるから、もし、昨日告白したことを受けてくれるなら、一緒に帰ろうという話をする。雪は、そのまま新幹線に乗って帰ってしまう。そして、壮太をNGリストに入れて終わりにする。
3点目は、お客を切る時の光景はまさにこのように、まったく感情が湧かない状態だということだ。罪悪感も無く、相手の感情が全くもってプッツリと切れた状態になるそうだ。
これは、幼い頃、過酷な体験をして心が閉ざされた状態にあり、愛される経験が無いことからくるものと、風俗の仕事をするうちに身につけていく護身術とでも言えるものではないだろうか?
1巻を読むだけでも、私のガチ恋の状況をより客観視できて良かったと思う。ネカフェで12巻まで読んだから、残り4巻は、来週の休みにでも読んで、全巻を読了してから、ガチ恋している風俗嬢に会いにいき、精一杯、見返りを一切求めず彼女を愛することだけ考えて立ち去るようにしよう。恋心は消えそうで消えない。もう一度、彼女を冷静に見ることで、話だけをすることで、きっと最後のお別れの挨拶になると考えている。よくよく考えれば、年齢が親子ほど開きがある女性を追っても、何の見返りもないのが当たり前だし、少しの希望で恋をしている自分が十分にキモく、それでも彼女のことを思うといたたまれなくなっているのだから、その素直な気持ちを大切に、彼女と向き合って、風俗店を後にすればいいだけのことだ。年齢を重ねるのは、本当に許せない。いいことないよ、本当に!
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