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『美しい星』の羅漢山、天覧山に上る。

三島由紀夫を著作に、『美しい星』という作品がある。地球とは別の天体から飛来した宇宙人であるという意識に目覚めた一家を中心に、核兵器を持った人類の滅亡をめぐり現代的な不安を、SF的技法を駆使してアレゴリカルに描いた傑作である。その一家が住んでいる場所が、飯能市街であり、天覧山の山頂からUFOの飛来を眺めるところから物語が始まるのだ。
いつも三島由紀夫の風景描写と文章を照らし合わせるのが、私の旅の楽しみである。
――一行は無言のまま、夜目にしらじらと羅漢山登り口と読まれる立札のあるところから、四つの懐中電灯の光を足もとに交叉させながら、すでに鉾杉に深く囲まれた坂の登りにかかった。これから先、外燈は一本もないのである。
 平地では風がほとんどなかったが、登るにつれて夜の樹々のざわめきが凄くなった。そして杉木立の隙の夜空は俄かに井戸のように深まり、星はたちまち輝きを増して犇めいた。先達の一雄のたまたま遠く届いた懐中電燈の光の穂先が、道のべの墓地の石群を浮び出させた。道はひろく、勾配は緩やかであった。慰霊碑のあるあたりで大きく迂回して、中腹の広場へ出た。空しいベンチの列や、ちらばった紙屑の白が照らし出された。
 鳥の声一つなかった。広場をすぎると、道おせばまり勾配も急な難路になった。横木の足溜りが埋め込んではあるけれど、岩や木の根が左右から道を犯し、しかも懐中電燈の光りはこれらの凹凸を誇張して、ゆくての岩根の影を誇大に揺らした。梢の風音はいよいよ凄くなった。
 しかし一行はけだかい目的に心を奪われ、女たちも物に怖じる気配がなかった。
 こんな山中にもし月があったら、かなり明るかったにちがいない。昨夜の月は夕景にあらわれて間もなく沈み、しかも、よし現われていても助けにはならない新月であった。四人は励まし合って難路を登ったが、昼間なら子供でも登れる道なのである。
 漸く出たせまい草地の一角に、崩れかけた四五段の石階が、懐中電燈に照らし出された。石階は暗い杉木立の間に小さな滝のように懸っていた。
「やっと辿りついた。これを上れば、もう頂上の展望台だ」
 と息を弾ませて重一郎が言った。
「それでも登り口から二十七分で来ちゃったわけですね」
 と腕時計の夜光の文字盤を、目もとへ近づけながら一雄が言った。
 展望台は百坪ほどの岩だらけの地面を均らしたもので、北は行幸記念碑とその背後の森にかこまれ、南は全くひらけて、二三のくねった松の枝や低い叢林の梢のほかには、天頂から地平まで、南の空の展望を遮るものはなかった。

その状況がyoutubeでありましたので、ご紹介⇒

www.youtube.com

私は正規のルートではない、逆側から急な石段を登って頂上までいったため、ぬかるみに足をとられ、靴を汚したくないとばかりにつま先立ちになろうとした際、身体のバランスを崩し、倒れてしまった。手とジャンパーが泥だらけになり、頂上に着く頃には、乾いた泥が手のひらに固まり、容易に落ちないような感じであった。呼吸が苦しく、久しぶりに高校の野球部の練習を思い出した。肺が空気でいっぱいになり、吐く息も吸う息も苦しさはあるが、汚れた心身が浄化されていくような気分になった。自然はいい。


↑この笑っている羅漢像は、泥だらけで鬱々としている私を、時を超えて諭してくれているようだ。

徳川綱吉が原因不明の病気になり、生母の桂昌院が、能仁寺の僧侶の祈願により治ったことへの感謝の気持ちから、十六の羅漢像を寄進し、愛宕山から羅漢山へ名が変わったのである。そして、1883年4月18日に、山麓で行われた近衛兵の春季演習を明治天皇が、この山頂から統監したことにより、天覧山と呼ばれるようになり、行幸記念碑が建てられるようになる。
三島由紀夫の描く場所は、どこも日本の歴史に深くかかわっていることに驚きを隠せない。調べてみると、とても深い、作者の意図に触れることができる。

――あくる日学校のかえりに飯能駅を下りてから、ばかばかしい家へまっすぐ帰るのがいやになって、八幡神社前で下りて、神社の杜へ登って行った。まだ日の残るすがすがしい境内で、あしたの予習をしようと思ったのである。あたりには人がなく、蜩の啼く杉木立のかげはひんやりしていた。
 暁子が北へ向って石段を昇ってゆき、奥の鳥居に達しようとしたとき、正面の拝殿の上の空に、白い閃く点のようなものが見えた。それはたたなわる山々の高麗峠の方角と思われたが、はじめ暁子はまだ明るいうちから現れた星だと考えた。↓

↓ヘリテイジ飯能という駅前のホタルで宿泊。飯能市で一番のホテルらしく、また、ヘリテイジ狭山のホテルには、平成天皇が宿泊したということを、宣伝している。天覧山飯能市一番の観光資源である。

帰宅途中に見たもの↓

横田基地である。基地からはサングラスを掛けた粋なアメリカ人が、車で堂々と外に出てくる。ハリウッド映画さながらの格好良さだ。近隣には、外国人向けのバーや商店が並ぶ。


自宅近くの公園で撮影をしていた。女優の方は、スタイルが良く、とても顔立ちが綺麗だった。誰だかわからないが、おそらく、テレビで放映されるのだろう。

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カテゴリ
阪神タイガース・プロ野球・スポーツ